2020年12月22日 8:56

昨日は県議会11月定例会の最終日、国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願第12号に対する賛成討論をチームしが県議団を代表して行いました。残念ながら3票差で否決をされましたが多くの傍聴者が来られており、終了後「引き続き、頑張ってほしい」と激励されました。討論内容の要旨は以下の通りです。
 本請願は、再審における検察手持ち証拠の全面開示と、再審決定に対する検察の不服申し立て(上訴)の禁止を求めるものです。
 再審は、無実の者が救済される最後の砦であり、罪を犯していない人が、犯罪者として法による制裁を受けることは冤罪であります。冤罪は人生を破壊し、人格を否定すると同時に、法制度自体の正当性を失わせるものにほかなりません。冤罪があってはならないものであることは、誰しもが認めるところでありながら後を絶たないのが現実です。
 最近の再審無罪判決では、2003年5月に湖東町の湖東記念病院で、看護助手の西山さんが入院患者の人工呼吸器のチューブを外して殺害されたとされた事件に対し、17年後の2020年3月、2回の再審公判を経て、再審無罪判決を勝ち取った事件がありました。この事件では、当初、1審大津地裁は懲役12年の判決を下し、最高裁まで争いましたが有罪が確定、西山さんは25歳から12年間を刑務所でおくることになりました。
 実は、私は西山美香さんのご両親から相談を受けた経緯があります。県議会議員1期目の最後の年だと記憶しています。何回となくお宅に伺い事情をお聞きしました。ご本人からの手紙なども見せて頂きました。有罪が確定して以降、ご家族も大変困難な状況になったとお聞きしました。さらに、お母さんも心労が原因で体調を崩されました。
 そして、美香さんも獄中で何度か自殺未遂をされたともお聞きました。私も知り合いの弁護士に相談したりしましたが再審請求の困難さを聞くばかりでした。当時、森茂樹県議にも相談させて頂き、「日本国民救援会」を紹介して頂きました。それ以降、美香さんを支えて頂いています。その後、私が浪人し、西山さんのご両親には疎遠になりましたが、西山さんを支える会の皆さん、井戸弁護士の活動には敬意と注目をしていました。特に、中日新聞の連載記事は欠かさずスクラップしていました。記者の皆さんのお陰で世論も注目されたんだと、あらためて感謝の気持ちをもつものです。再審が確定される見込みが出てきた集会でお父さんから天を仰いで「江畑さん、いろいろありました」と、言われたことが忘れられません。12年にも及ぶ服役中、両親に届き続けた美香さんからの350通にも及んだ手紙には…“殺していない”と無実の主張が書かれ続けられました。だからご両親は周囲の人に何を言われても信じ続けられたんだと思います。
 2017年12月に大阪高裁で再審開始決定が出されるも、検察が特別抗告、やっと19年3月に最高裁が検察の抗告を棄却して再審が確定、今年3月に無罪となったものです。この事件では、発達障害と軽い知的障害を持つ西山さんに、警察が自白を誘導し、検察とともに証拠を出さず、一人の女性の人生の一番大事な時期を奪い、冤罪事件として長期化させてきたもので、警察と検察、事実を見極められなかった裁判官の責任は重大です。
 無罪判決を言い渡した裁判長は、西山さんに対し「問われるべきは西山さんのウソではなく、捜査手続きのあり方です」とし、さらに「再審開始決定後、15年後に初めて開示された重要な証拠があります。取り調べや客観証拠の検討、証拠開示、これらが適切に行われていれば、このようなことは起こりませんでした」と述べ、「より良い刑事司法を実現する大きな原動力となる可能性があります」と問題提起されました。
 このように、無罪となった再審事件で、「新証拠」の多くが、実は当初から検察が隠していたものであった事実には、心が凍る恐怖を覚えます。無罪証拠が当初から開示されていたら、冤罪は生まれず、当事者の人生は全く別のものになっていたからです。また、再審開始決定に対する検察の即時抗告及び特別抗告による不服申し立て制度がなければ、これほど長期化することにはなりませんでした。この裁判長の問題提起は、まさに本請願の趣旨に合致したものに外なりません。
 無実のまま12年間服役した、西山美香さんは、自分のことよりも、自分が嘘の自白をしたせいで両親を苦しめた事を後悔されたと聞き及んでいます。
 本当に冤罪は二度とあってはならないとあらためて思います。
 したがって、無罪の人を誤った裁判から迅速に救済するためには、再審における検察手持ち証拠を全面開示すること、再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁止することについて、「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める」ことは含意(がんい)妥当と考え、賛成とするものです。